≪第68回ヴェネチア映画祭コンペティション部門正式出品作品≫
≪第49回ニューヨーク映画祭オープニング作品≫
<ストーリー>
発端は子供同士のけんかだった。時は1月11日、場所はニューヨークのブルックリン。公園で遊んでいた少年たちの間でいざこざが起こり、イーサン・ロングストリートが前歯を2本折るケガを負った。加害者の少年の名は、ザッカリー・カウアン。彼の両親は、弁護士のアラン(クリストフ・ヴァルツ)と投資ブローカーのナンシー(ケイト・ウィンスレット)夫妻だ。2人は、さっそくロングストリート家のアパートを訪問。マイケル(ジョン・C・ライリー)とペネロペ(ジョディ・フォスター)のロングストリート夫妻を相手に和解の話し合いを開始した。
当初、話し合いは、ペネロペ特製のコブラー(ケーキの一種)を食べながら和やかに進んだ。しかし、子供を交えた次の話し合いのスケジュールを決める段階で、次第に4人の話はかみあわなくなり、場の雰囲気は険悪なものに変わっていく。
その険悪ムードを助長する役目を担ったのが、ひっきりなしにかかってくるアランの携帯電話だった。製薬会社の顧問弁護士をつとめるアランにとって、目下の最優先課題は、アントリルという薬の副作用に関する訴訟をどうやってうまく切り抜けるかということ。正直、子供のけんかの後始末などはどうでもいいことだったので、今回の話し合いも、きりのいいところでナンシーに丸投げするつもりでいた。が、いっぽうのナンシーは、そんな彼の無関心な態度にかねてから不満を持っていた。子育ての責任をめぐり、2人は口論。神経を高ぶらせたナンシーは、ペネロペが大事にしていたココシュカの画集の上に胃の中の物をぶちまけてしまう。
しかし、吐いて緊張がほぐれたのか、洗面所から戻ってきたナンシーは、子供たちのけんかの原因はイーサンのほうにあると新たな主張を展開し始めた。そこに、マイケルの母親から電話がかかってくる。電話を取ったマイケルは、母親がアントリルを服用していると聞いてビックリ。アランに訴訟の件を問いただすが、アランは相手にしない。「親がこの調子ならザッカリーも問題児だろう」と、カウアン夫妻に嫌味なセリフを投げつけるマイケル。負けじとナンシーは、マイケルがハムスターを路上に捨てた一件を槍玉にあげ、「ハムスター殺し」とやり返す。すると、そのハムスターをめぐって、今度はペネロペとマイケルの間で口論が始まった。正論をふりかざして口撃を強めるペネロペに対し、話のわかる夫を演じるのはもういやだと開き直るマイケル。彼がスコッチを飲み始めたことで、ペネロペの怒りはエスカレート。金物商の仕事に満足しきっているマイケルのことを「平凡な人生がいちばんと決め込んでいる男」と揶揄し、「アランのほうがまし」と言い放つ。
とはいえ、これでペネロペとアランの間に友情が築かれたわけではなかった。インテリぶったペネロペをおちょくることに快感を覚え始めたアランは、アフリカのダルフール紛争に関する本を執筆中のペネロペに暴力についての議論をふっかけ、彼女をますます苛立たせる。そうこうしている間もアランの携帯電話のベルは鳴りやまず、たまりかねたナンシーは、アランの手から携帯を奪い取って花瓶の中に投げ入れてしまう。
携帯が水浸しになったことにショックを受け、電源が切れたように床にへたりこむアラン。そのかたわらで、黙々と携帯の修理を始めるマイケル。いっぽう、ナンシーとペネロペは、アランの携帯を抹殺した喜びで心が通じあうが、「子供たちの両方に非があった」というナンシーの発言によって、女同士の絆はもろくも崩壊する。逆上してナンシーのバッグを放り投げるペネロペ。そのバッグを誰も拾ってくれなかったと言ってさらに逆上するナンシー。この修羅場の行き着く先には、果たして何が待ち受けているのだろう……!?
キャスト
ジョディ・フォスター(ペネロペ・ロングストリート)
ケイト・ウィンスレット(ナンシー・カウワン)
クリストフ・ヴァルツ(アラン・カウワン)
ジョン・C・ライリー(マイケル・ロングストリート)
スタッフ
監督:ロマン・ポランスキー
脚色:ヤスミナ・レザ ロマン・ポランスキー
製作:サイド・ベン・サイド
原作:ヤスミナ・レザ
日本上演タイトル「大人はかく戦えり」)
編集:エルヴェ・ド・ルーズ
撮影:パヴェル・エデルマン
プロダクション・デザイン:ディーン・タヴォウラリス
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
2011年フランス、ドイツ、ポーランド合作映画
本篇上映時間1時間19分
原題:CARNAGE
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント