第23回東京国際映画祭 アジアの風出品、第14回釜山国際映画祭正式出品など各国の国際映画祭にて賞賛を浴び、昨年の第21回アジアフォーカス福岡国際映画祭でも上映され記憶に新しい。台湾の実力派シアオ・ヤーチュアン監督作品『台北カフェ・ストーリー』の待望の日本公開初日を4月14日(土)に控えている。この作品にも出演され、歌声を披露されている中孝介(あたりこうすけ)が、シネマート六本木で開催されたトークイベントに登壇しました。(※クリックで画像拡大)
MCの配給・宣伝ユナイテッド・ピープルの代表・関根氏より、最初に『台北カフェ・ストーリー』と、いつどのように出会ってきたのかの話がありました。
MC(関根氏):「ユナイテッド・ピープルという会社は、社会派のドキュメンタリー映画を配給しています。2010年、釜山国際映画祭で、物々交換の映画ということで興味を持ちました。映画を見てみたらのめり込んで面白いなと・・・。2011年、東日本大震災が起きました。その時に、『台北カフェ・ストーリー』を思い出して、何かこの作品は物々交換以上のもの、お金中心の社会になって効率を求めていくような社会になっていき、この映画は何か大切なものを思い出させてくれると思ったのです。そして、震災の後大変多くの命が失われ、多くのものを失っていき、本当に私達の大切なものは何かな?ということを気づかせてくれる。この作品を是非日本に持ってきて、皆さんにご覧いただきたいなという気持ちで、3・11の後で改めて台湾の監督側にアプローチをして、これを今の日本に観せたいです。そして、私達にとって本当に大切なものは何かということを問いかけたいです。そういった気持ちで持ち込みました。そして、特別出演されている中(あたり)さんの事務所にもお願いしまして協力をお願いして、今に至った訳です。」
MC:中さんは先日”キセキノカケラ”全国11公演を終えられたばかりですけれども、どのようなツアーでしたか?
中:「アルバムタイトルが”キセキノカケラ”だったのですけれど、各地でたくさんのみなさんと音楽で人と出逢える。一つ一つにキセキを感じたツアーになりました。」
MC:特別出演された『台北カフェ・ストーリー』ですけれども、中さん自身はどのようなシーンが好きですか?
中:所々に台湾の方が台北をどのように思っているのかのコメントが出てくるのですが、ホッコリする感じが他の映画にはないところですね。」
MC:中さん自身も台湾はお好きなのでしょうか?
中:「何度も行っています。」
MC:『台北カフェ・ストーリー』の製作総指揮をしているホウ・シャオシェンや監督のシアオ・ヤーチュアンと出会ったきっかけは?
中:「台湾で2008年夏に上映された『海角七號』に初めて出演し、台湾では知らない人がいないというくらい大ヒットした映画で、その映画に出演してからオファーをいただきました。『海角七號』の撮影を台南の墾丁(ケンティン)で撮影をしていました。公開して墾丁がもの凄い観光地になったのです。そして、台北市もそのような映画を作りたいということになり、製作総指揮のホウ・シャオシェンとシアオ・ヤーチュアン監督が、一緒に組んで『台北カフェ・ストーリー』を作ろうということになったのです。」
MC:オファーの時に、積み木を貰ったらしいですね?
中:「シアオ・ヤーチュアン監督がオファーをする時に、長方形の積み木を渡され、”出演が決まった時にその積み木にサインをして返してくれ”と言われて、自分もその積み木を預り、本当にオファー来るのかな?と思っていたらオファーが来て、役どころは歌を歌うということでお受けました。」
MC:唯一、物と物ではなく歌との交換「僕の歌でもイイかな、2曲でもイイかな。」とセリフはアドリブだったのですか?
中:「アドリブではなかったです。」
MC:「ふるさと」を歌われていましたが、あの曲は中さんが選ばれたのですか?
中:「監督からは日本を思わせる曲がいいということで決めました。」
MC:他に印象的なことはありましたか?
中:「物々交換をしていく中で、二人の姉妹の価値観が変わっていく差が、映画の印象に残ったひとつですね。そこが、この映画で一番伝えたいことだと思うのです。」
MC:物々交換を通じて物と物との交換以上に、コミュニケーションをしているのですね。
中:「そうですね。ただ自分が欲しいだけでは手に入れることができなくて、自分が大切にしている物を相手も気に入ってくれないと交換できないという・・・。自分にとって価値観というものさしは一人一人それぞれあるのだと思いました。」
MC:撮影はどんな雰囲気でしたか?
中:「撮影は本当にほんわかとした雰囲気で、あっという間に撮影が終ってしまいました。2日間あったのですが、1日で終わってしまいました。」(自分の撮影時での話をした。)
MC:予備日を使うこともなく?
中:「そうですね。予備日は台湾の北投温泉へ行きました。」
MC:姉妹役のグイ・ルンメイさんとリン・チェンシーさんはどうでしたか?
中:「グイ・ルンメイさんは映画『藍色夏恋』を観ていたので、まさかお会い出来るとは思っていなかったので、とても嬉しかったです。リン・チェンシーさんは、スクリーンで観ているのと違う方で、とてもシャイなのです。そこが美しさの裏側になる可愛らしさを本人に会ってみて感じましたね。」
MC:私も本人と二度ほどお会いしましたが、シャイですよね。映画の中では凄いてきぱきとしている妹役をしていますけれどね。
中:「この人は女優さんなんだなと・・・スイッチが変わると撮影が始まる。」
MC:このカフェ実在するのですよね?映画のためにわざわざ作られたカフェで、台北にありますけれどこのカフェには行かれましたか?
中:「撮影後は訪れていないですが、いつか時間があったら行ってみたいです。」
MC:私も行ってきましたけれど、物々交換はしていないのですよ。(笑)映画に出てくるスイーツのエクレアやチーズケーキなどが曜日ごとに出るものが違いますが。
中:「撮影中にも実際食べましたし、エスプレッソをいただきました。」
MC:日本では物々交換のイベントを絡めて、4月14日からシネマート六本木で公開されますが、初日と二日目は本の物々交換を行います。是非、もう一度来てください。
MC:物々交換と言えば、もしも会場のみなさんが拍手をして下さったら1曲歌っちゃったりとか?(会場は破れんばかりの拍手に)
中:「ありがとうございます。映画の中でも歌っている『ふるさと』をちょっと聴いて下さい。」
(アカペラで劇中でも歌っている『ふるさと』を歌い、観客を魅了しました。)
MC:『ふるさと』を中国や台湾でも歌ったりするのでしょうか?
中:「そうですね。言葉は日本語なのですが、ノスルジックな郷愁を思い出す。」
(会場から質問も寄せられました)
Q:台湾の中で好きな場所は?
中:「台北も好きですが、台北の街は近代的な所もあれば、昔懐かしい屋台が集まっている夜市が盛り上がっていたり、両面性があるところが台湾の魅力かと思います。初めて九份に行きました。すごく素敵な場所だと思いました。」
MC:北投温泉はどうでしたか?
中:「日本統治から残っている場所で、いまだに平仮名で説明書きが書いてあるのが残っていました。台湾は日本の歴史を感じる場所でしたね。」
Q:台湾と日本の人の違いは感じますか?
中:「いつも台湾に行くとこんなに日本を好きでいてくれるところはないなと思いますね。違いは中華圏の方々は、感情がストレートなので、ライブをやっていると日本でやるライブとは違うのです。黄色い声援の”キャー”とかあるので嬉しく自分がアイドル気分になりますね。その歓声でバンドのイントロが聞こえないくらいの歓声があるのです。ストレートな感情を強く感じます。そこが日本の方との違いですね。」
MC:映画にもあります、物々交換をしたことはありますか?
中:「ないですね。」
MC:監督のクリエイティブには物々交換のアイデアがあり、カウチサーフィンという自分の余っているソファーがあればそれを提供して、その代わり他のソファーが自分のものになる。世界中とこでもソファーがあればカウチサーフィンができるという面白いアイデアですよね。それもシェアの一つですね。
<STORY>
夢を叶えるためOLを辞めたドゥアルと妹のチャンアルが念願のカフェを台北でオープンする。ドゥアル・カフェは、コーヒーのアロマ、手製のデザートの香りであふれている。しかし、やっと開店したものの、お客が入らない。そこで妹チャンアルが、カフェで物々交換を始めるアイデアを思いつく。様々な物が持ち込まれ、そして次のオーナーのもとへと去っていく。やがて物々交換はドゥアル・カフェの一番の魅力となっていく。そして物々交換がきっかけで出会った人たちが、心を通わせていく。
ある日、一人の男性がお店にやって来る。彼は世界35都市で集めたという35個の石鹸を持って来て、何か特別なものと交換したいという。以後、カフェに来る度に語られるそれらの石鹸のエキゾチックな物語にドゥアルの心は魅せられていく。そして、物々交換をきっかけに、姉妹の価値観が変わっていく。本当に大切なものは?台北を舞台に展開するオシャレ感覚溢れるカフェ・ストーリー。
監督・脚本:シアオ・ヤーチュアン(蕭雅全)
製作総指揮:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)『悲情城市』
キャスト: グイ・ルンメイ リン・チェンシー(林辰唏) チャン・ハン(張翰) 中孝介(特別出演)
プロデューサー: シアオ・ルイラン(蕭瑞嵐)
撮影監督:リン・ジェチアン(林哲強)
美術: リー・トゥンカン(李敦綱)
編集: タオ・チューチュン(陶竺君)
録音: トゥー・ドゥーチ(杜篤之)
音楽: サマー・レイ(雷光夏) ホウ・ジージエン(侯志堅)
日本語字幕: 小川詩乃
製作: BITプロダクション
配給・宣伝:ユナイテッドピープル
Web: http://www.taipeicafe.net
Twitter: @taipeicafe