今年2月、韓国オリジナルミュージカル『パルレ』が、日本初演で大好評だった。日韓合同ロングランという名のもとに、新しいキャスト(稲田みづ紀、小野田龍之介)が加わり日本初演から3ヶ月で再演となる。『パルレ』は、ソウル、大学路(テハンノ)で、2005年からロングラン、第11回ミュージカル大賞、第4回ミュージカルアワード「脚本賞」「作詞作曲賞」など数々の賞に輝いた小劇場系ミュージカルの話題作。
5月11日(金)、初日本番前の公開舞台稽古と囲み取材が行われ、主人公のナヨンとソロゴン役のダブルキャストの野呂佳代、稲田みづ紀、野島直人、小野田龍之介が出席した。
(アジアエンタメLIFEでは、新しくナヨンを演じる稲田みづ紀に単独インタビューをさせていただきました。)
(左から 野島直人、野呂佳代、稲田みづ紀、小野田龍之介)
野島:「初演に引き続き野呂さんと一緒で続投組で、演出もかわったこともあり、初日も初演と同じ組み合わせでスタートするので、初心にかえってフレッシュにやっていきたい」
野呂:「前回が初めてのミュージカルで初めての主演、張り切ってみなさんに支えてもらってやっていた。再演というのは本当に難しいことなのだと思いました。3ヶ月しか経っていないのですが、自分の成長を観てもらいたい」
稲田:「約1ヶ月間の稽古でここまで迎えているのですけれど、まさに(初日が)きたなという感じがして、とにかく稽古で積み重ねてきたものをそのまま演出とソウルのキャラクターの感じ方、日本人と違う部分があるので、そこをみなさんにそのままお届けできたらと思います」
小野田:「みづ紀さんと同じく、もう(初日が)きたんだなと、僕達は明日が初日なので、ミュージカルなのですけれど段取り的な稽古ではなく、ミンジュさん(演出)に内面的なところを深めて下さる演出で、今日のゲネで緊張すると思ったのですが、内面的に稽古をさせていただいたので、舞台が始まったら楽しくもちろん辛いシーンもあるのですが、最後は楽しく過ごせたなと思います。これからもナヨンは2人いますので、いろんなことを感じながら毎回やっていけたらと思います」と初日を迎えての意気込みを語った。
Q:再演のどのあたりが難しかったのですか?
野呂:「最初に難しいと思ったのは、前(初演)にやったことが殆ど頭に残ってなかったのです。テンパリながらとにかくついていかなきゃと必死にやっていたので、ある意味いちからのスタートになってしまい、やっているうちに少しずつ思い出して、今度はこうしてみようと思うのと同時に、ミンジュさんからこうしてみたらというアドバイスを言っていただけたので、そういうものの噛み合いが難しいなと思いながら・・・今日まで仕上げました」と再演の難しさと「内面的な感情を出すという演出こだわっている方なので、歌も同じで気持ちで歌って伝えることが大事なのだと今回深く知ることができたので、そのところが伝わればと思います」と再演でプラスしたところを語った。
Q:SDNから卒業して、元SDNメンバーから心境の変化は?
野呂:「今までは1月、2月が稽古して仕事で忙しくて、目まぐるし毎日だった。でも、メンバーに会ってホッとすることがあり、今思うと気持ちの切り替える場所(SDN)だった。みんなの笑顔が見れないのは寂しい」とSDN卒業後の心境を語った。そして、元メンバーにネットで舞台のことを知らせ「10人は来てくれると思う」と元SDNメンバーも観劇に来ることを暴露。そして記者から”女優としてやっていけるという自身がついてきていますか?”の質問には「これが終わってからの結果でしょうね。一生懸命やる気はあるのですけれど、初演の時と再演での持ち味が、どう評価されるか・・・ミュージカルの魅力は十分にわかりました」と客観的な野呂らしいコメント。
Q:現場の雰囲気は?
小野田から「パルレ姉さんでしょう!」と言われると野呂は「今後、再演でベテランになって”あの時はこうだったのよ”なんて言い出したら嫌だねと言ってたらパルレ姉さんに・・・」(笑)小野田は「でも、楽しいカンパニーです。人数も少ないのでチームワークも良いしみんなでやっています」と雰囲気もチームワークも良いと絶賛。
Q:15日に東京ドームシティホールで行われるSDNの一夜限りの復活公演の準備は?
野呂:「1回だけ思い出そうとして休憩時間にダンスしたが、その後の稽古が大失敗でこれは駄目だと思った。それから何もしてないので、15日の当日に一気に思い出そうと思ってます」と、どうやらぶっつけ本番で挑むようだ。
<稲田みづ紀 単独インタビュー>
Q:『パルレ』は再演になり、新しくダブルキャストとして加わることついての気持ちは?
稲田:「未知の世界ですから不安な気持ちはありました。半分は初演からの出演の方がおりまして、その中に入っていくなかで、ヒロインという大きな役ということもあり、やはり凄い不安はありました。最初の本読みの時は、自分でもまだつかめなくてボロボロだったのです。演出のチェ・ミンジュさんがいらっしゃるまでは、前から出演されている方々からもいろいろアドバイスされました。チェ・ミンジュさんが来日されてからは、本格的に稽古が始まりました。(演出家は)初演を辿ることはいっさいしないという方で、稲田みづ紀のキャラクターで、新しい演出をつけて下さるということで、それからは新しいものを作り上げていこうと感じでした」と本音で語った。
「通し稽古は今日が初めてだったので、その不安もあったし・・・ドキドキわくわく、失敗しないかなとか思いました。稽古が密に形ではなく、自分のこう思ったらこう動くという人の気持ちや心情にあった演出なので、何かあっても焦らない自分が今いるので、有難く今後の勉強にもあります」と公開舞台稽古の感想を語った。
Q:稲田さんはライブ活動もされていますが、ミュージカルでは苦戦したところなどはありましたか?
稲田:「同じ歌うでもしゃべるように歌うのと、メロディーをなぞって歌うのとは全然違って・・・ちょっと気がそれるとやはり動作だけになるとポップス歌いになり、自分の気持ち良いように歌ってしまうのですけれど、お芝居でミュージカルで、自分の気持ちを言葉にしていることを忘れてはいけないということ・・・」
Q:実家のお母さんへ電話をする場面では、言葉(東北弁)は難しかったですか?
稲田:「一応、東北の出身という設定なのですけれど、東北の方が聞いたら”おい!”って・・・(笑)」
(舞台では、東北弁、関西弁、博多弁などの言葉も・・・)
Q:舞台について、ご家族(父・岸田敏志)の方は何か言われていますか?
稲田:「とにかく等身大で当たって砕けよという感じじゃないけれど”頑張れよ!”と応援してくれています」
Q:今後の活動予定は?
稲田:「7月にミュージカル『ひめゆり』の出演、9月に父と共演する『634メートルの月』に出演します。(ライブ活動は?)やりたいですけれど、今お芝居の予定があるので・・・ライブもやりたいですね」と今後の親子での共演も期待したい。
(取材:野地 理絵)
『パルレ』 STORY
ソウルのとある路地裏の一角、そこで暮らす地方出身のOL・ナヨンと、モンゴルから来た青年ソロンゴとの恋、そして、それぞれの悩みを抱えながら貧しい生活を送る人々の日々の哀歓を笑いと涙で描く。大都会の暮らしは、外国人労働者ソロンゴにとっても、地方出身者ナヨンにとっても厳しい。人は、痛み、傷、闇…様々な真実を受け入れなければならない。受け入れなければ不自由になる、受け入れれば楽になる、楽になれば希望が生まれる、そんなことを教えてくれる素朴な物語。
演出:チュ・ミンジュ
共同演出:鈴木孝宏
野呂佳代(ナヨン)・野島直人(ソロゴン)
稲田みづ紀(ナヨン)・小野田龍之介(ソロゴン)
大鳥れい、五東由衣、安福毅、中島大介、奈良坂潤紀、野田久美子
日 程 2012年5月11日(金) ~20日(日) 俳優座劇場
チケット料金 7,000円(税込・全席指定)
東京音協 |
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ピュアーマリーHP |
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