28日(月)、都内で舞台『ふるあめりかに袖はぬらさじ』の製作発表が行われ、主演の坂東玉三郎、出演の檀れいと松田悟志が出席した。
有吉佐和子の最高傑作『ふるあめりかに袖はぬらさじ』は、1972年に文学座・杉村春子主演で初演された。以来、お園は杉村の当たり役となり、1988年には歌舞伎界の至宝・坂東玉三郎に受け継がれた。この作品誕生から40年を迎え、坂東玉三郎にとって記念すべき10回目の上演になる、長年評判を博した名作が新たなる形で進化を遂げる。(※クリックで画像拡大)
これまでに波乃久里子、宮沢りえ、寺島しのぶ等、数々の名優たちが挑んだ、恋に殉じて命を絶つ花魁・亀遊役には宝塚歌劇団を退団後、実力派女優として多方面で活躍の場を増やす檀れい。また、亀遊の恋仲の藤吉役には、大河ドラマ『龍馬伝』や朝の連続テレビ小説『てっぱん』に出演し、過去に名優を見出した坂東玉三郎が次に期待をかける若手俳優・松田悟志が挑む。今回は、赤坂ACTシアターのために坂東玉三郎が舞台セットや照明、衣装にいたるまで細部に渡り監修する。
坂東:「松田君の第一印象は、現代的なキャラクターを持っているので、当人に聞いたら”出来ると思う”と言って・・・(爆笑)。檀さんは、申し上げるまでもない女優さんです。見たところ優しくていらっしゃるけれど、(宝塚歌劇団での)大きな経験を積んでいらっしゃるので、本番になったら芯のところが出てくるのだろうという印象です」と第一印象について語り、「新しいキャスト(檀、松田)の方とまっすぐに会話をすることによって、自分が変わっていけるのだと思う」と共演と舞台に期待の様子。そして、「ACTシアターという空間を最大に生かして身近に感じていただけるように・・・」とACTシアターならではの空間と抱負を語った。
檀:「私の心を引き出して下さって、いち役者として演出家としても感性の素晴らしい言葉で、どんどん心を動かしてくれる。ご一緒できる喜びと緊張感に包まれた素晴らしい方だと思いました。松田さんとは今日お会いしたのが初めてで、京都の南座で舞台を拝見し、藤吉を演じていらっしゃる松田さんの舞台に対して誠実さ、役に対して向き合っている姿が印象的だった」と第一印象を語り「一回一回の公演を大切にし、一日1ミリでも成長できるように一生懸命取り組んで参りたいと思います」と抱負を語った。
松田:「(檀れいから見た松田の印象”誠実”ということに対して)僕が誠実なのは舞台だけではないですけれど・・・(爆笑)。坂東玉三郎さんは、俳優としても素晴らしく、恐ろしいくらいに洞察力のある方だなと感じています。檀さんは、初めてお会いしたのですが”テレビで拝見させていただいた方なので、綺麗な人だな”と客観的に感じました」と第一印象を語り「(役の)藤吉のように正直に挑んでいきたい」と抱負を語った。
(取材: 野地 理絵 )
『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
<STORY>
幕末、尊王攘夷の機運が盛り上がる開港間もない横浜の遊廓・岩亀楼。
病で床に伏せった遊女の亀遊(檀 れい)を見舞いに吉原の頃から顔なじみだった芸者・お園(坂東玉三郎)がやって来る。そこでお園は、亀遊が通辞の藤吉(松田悟志)と恋仲であることに気づく。ある日、岩亀楼にアメリカ人のイルウスがやってくる。藤吉が通訳する中、イルウスは亀遊を気に入り、ぜひ相手にと熱望する。岩亀楼の主人はイルウスから大金をせしめることができると見るや亀遊の身請けを承諾するものの、亀遊は藤吉との恋が叶わないことを儚んで自害してしまう。
そのうちに、亀遊が自害したのは外国人への身請けを拒んだことが原因だという瓦版がまかれ、亀遊は一躍攘夷女郎のヒロインにまつりあげられる。そして「露をだにいとふ倭の女郎花ふるあめりかに袖はぬらさじ」という辞世の句を残したという話まででっちあげられてしまう。
一方、岩亀楼には攘夷女郎がいたと評判が立ち連日客が押し寄せる。亀遊の話を聞きたがる客にお園が話をするうちに、どんどん話が大きくなり、脚色されていってしまう。5年後、攘夷党の集まりが岩亀楼で開かれ、例によってお園が呼ばれ、亀遊の話をすることになる。手馴れたお園は流暢に話をし、最後に辞世の句を歌うと、それが脚色であることがばれてしまう。怒った攘夷党の侍に刀を向けられ、今後一切この話をしないように脅かされる。一命を取り留めたお園は、一人、降る雨を眺めながら酒をあおるのだった……。
作 有吉佐和子
演出 齋藤雅文
キャスト
坂東玉三郎 檀れい
松田悟志 伊藤みどり 藤堂新二 団時朗 他
スタッフ
美術 織田音也 中嶋正留
照明 池田智哉
邦楽 堅田喜三代
劇中歌作曲 今藤政太郎
効果 内藤博司
舞台監督 井口祐弘
製作 松竹株式会社/ TBS
主催 TBS / TBSラジオ / BS-TBS
公演期間 2012年9月28日(金)~10月21日(日)
会場 赤坂ACTシアター
チケット発売日 2012年6月2日(土)~
チケット料金 S席 ¥13,000 A席 ¥9,000
※全席指定・税込
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