三谷文楽『其礼成心中』の公開舞台稽古が、10日(金)行われ、三谷幸喜が構想足掛け4年かけた、初の文楽の全てが明かされた。
「初ものづくし」の第3弾・・・初の翻訳ものの演出として、アントン・チェーホフの「桜の園」を翻案演出、戸田恵子の一人舞台、そして日本の伝統芸能”文楽”に自ら書き下ろし演出に初挑戦。三谷文楽『其礼成心中』(それなりしんじゅう)は、『曾根崎心中』の裏版ともいえる。笑いと涙に溢れた人情物語。
幕が開くと同時に、三味線の音と大夫の浄瑠璃を語る本格的な文楽が始まる。『曾根崎心中』を思わせる場面では、笑いも取り込まれている。時代背景にとらわれないセリフも・・・元禄時代に”ネイルサロン”に”カミングアウト”と、そして皮肉も混じり、堅苦しさがまったくなく飽きさせない。文楽が初めてという人にも思う存分笑って泣ける・・・楽しめる内容になっている。
(あらすじ)
舞台は元禄十六年。大坂では近松門左衛門が実際の心中事件を元に書いた『曾根崎心中』が大ヒット。その舞台となった天神の森は、悲恋の末に心中を遂げようとする男女の心中のメッカとなっていた。その森の入り口にある饅頭屋の夫婦は、心中にやってくる男女の身の上話を聞き、心中しようとした男女は饅頭を買って帰る。巷では”人生相談所”として評判がたち、「曾根崎饅頭」で大金もちになる。しかし、近松門左衛門が新たな心中もの『心中天網島』を発表すると、心中ブームは曾根崎から網島へと・・・。そして、饅頭屋の主人は再び大儲けを企む。最後は、八方ふさがりの饅頭屋の夫婦、店は傾き、もう打つ手はない。生きていく力をなくし、夫婦は自らの天神の森で命を絶とうとするが・・・。
公演日程:2012年8月11日(土)~8月22日(水)
作・演出:三谷幸喜
出演:竹本千歳大夫 豊竹呂勢大夫 鶴澤清介 吉田一輔 他
会場:パルコ劇場
料金:7,800円(全席指定・税込)
上演時間:約2時間(休憩なし)予定
協力:国立文楽劇場、文楽協会
企画製作:株式会社パルコ
(取材:野地 理絵)