フランス風のエレガントなお遊びのようだ、ホン・サンスの映画は。―バラエティ誌
カンヌ、ヴェネチア、ベルリン――世界の3大映画祭を賑わし、ヨーロッパで絶大な人気を誇るホン・サンス。そのスタイルは韓国のゴダール、ロメールの徒弟と評されるほど。「ノーギャラでも出演したい」と集まったスターたち――キム・サンギョン、ムン・ソリ、ユ・ジュンサン、イ・ソンギュン…。彼らと織りなす4つの恋愛スケッチ。“恋する女”“恋する男”に向けられる柔らかなまなざしと、ウィットに富む、粋な会話が観るものを魅了する。これぞホン・サンス・マジック!カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ『ハハハ』を含む全4作品を一挙上映。4つの恋の色彩をご堪能あれ。
『よく知りもしないくせに 』 第62回カンヌ国際映画祭監督週間出品
◆映画祭に審査員として赴いた映画監督ギョンナム。そこに現れた旧友サンヨンと映画祭そっちのけで飲み明かし、二日酔いのままホテルで目覚めたギョンナムに届いた「二度と自分の前に現れないでくれ」というメッセージ。数日後、済州島に向かったギョンナムは、先輩の画家とその妻と再会する――その妻はかつての恋人だった。燃え上がる過去の恋の後始末は…。
◆よみがえる恋の記憶。恋することは罪なのか? ホン・サンス作品には欠かせない存在であるキム・テウが、優柔不断な男を軽やかに演じる悲喜劇。
2009年/韓国/カラー/126分 出演:キム・テウ(『JSA』『キッチン~3人のレシピ~』)、コ・ヒョンジョン(『浜辺の女』)、オム・ジウォン(『グッド・バッド・ウィアード』)
『教授とわたし、そして映画 』 第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門クロージング
◆映画監督ジングは生活のため、ソン教授の口利きで映画学科で教えているが、大学の人間関係が頭痛のタネ。ジングが学生だった頃、同じ学科のオッキに恋をした。でも、オッキにはソン教授との秘密の関係が。オッキはふたりの男との、年の瀬から正月にかけてのデートを映画にして、自らの恋愛を検証し始める…。
◆オッキという名の女をめぐる恋愛変奏曲。恋愛と映画にまつわるエピソードが繰り返され、煙に巻く。イ・ソンギュンが三角関係に翻弄される男を演じ、笑いと共感を誘う。
2010年/韓国/カー/80分 出演:イ・ソンギュン(「コーヒープリンス1号店」)、チョン・ユミ(『甘い人生』)、ムン・ソングン(『冬の小鳥』)
『ハハハ 』 第63回年カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ
◆映画監督のムンギョンは、先輩の映画評論家と酒の肴に、ひと夏の出会いについて語り始める――南の港町トンヨンで、ムンギョンは観光ガイド、ソンオクに一目惚れ。しかし彼女には海兵隊出身の恋人が…。行きつけの食堂の美人店員も絡んで、ソンオクをめぐる恋のさやあてが始まる。
◆港町を舞台に、恋に落ちた女性たちとのひと夏のヴァカンスを綴る、ホン・サンス作品ではお馴染みキム・サンギョンと名女優ムン・ソリ演じる肉感的な女性の掛けあいが新鮮な、ホン・サンス、近年の代表作。
2010年/韓国/カラー/116分 出演:キム・サンギョン(『殺人の追憶』『気まぐれな唇』)、ユ・ジュンサン(『黒く濁る村』)、ムン・ソリ(『オアシス』)
『次の朝は他人 』 第64回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品
◆先輩に会うためにソウルを訪れた映画監督ソンジュン。先輩に誘われるまま、「小説」という不思議なバーに流れた。その店のオーナーを見たソンジュンは、昔の恋人そっくりの彼女にたちまち魅了される。翌日、再びバーを訪れたソンジュンは買い物に行く彼女と外に出て、キスをした。寒い冬の夜、路上に雪が舞っていた。
◆惹かれ合いながら、一緒にいることが出来ないふたり。美しいモノクロの映像で描く偶然の出会いと別れ。粉雪舞うキスシーンが秀逸なホン・サンスの新境地。
2011年/韓国/モノクロ/79分 出演:ユ・ジュンサン、キム・サンジュン(「私の男の女」)