27日(木)、赤坂ATCシアターで、坂東玉三郎 主演『ふるあめりかに袖はぬらさじ』の公開舞台稽古が行われ、坂東玉三郎、壇れい、松田悟志が囲み取材に応じた。坂東玉三郎が重要無形文化財保持者(人間国宝)に新たに認定されてから初となる待望の舞台。
有吉佐和子の最高傑作『ふるあめりかに袖はぬらさじ』は、1972年に文学座・杉村春子主演で初演された。以来、お園は杉村の当たり役となり、1988年には歌舞伎界の至宝・坂東玉三郎に受け継がれた。この作品誕生から40年を迎え、坂東玉三郎にとって記念すべき10回目の上演になる、長年評判を博した名作が新たなる形で進化を遂げる。 これまでに波乃久里子、宮沢りえ、寺島しのぶ等、数々の名優たちが挑んだ、恋に殉じて命を絶つ花魁・亀遊役には宝塚歌劇団を退団後、実力派女優として多方面で活躍の場を増やす檀れいが演じ、また、亀遊の恋仲の藤吉役には、大河ドラマ『龍馬伝』や朝の連続テレビ小説『てっぱん』に出演し、過去に名優を見出した坂東玉三郎が次に期待をかける若手俳優・松田悟志が挑む。
<囲み取材>
坂東:「新しいキャストで、いつもの赤坂ACTシアターと違った舞台にしたい」と意気込みを語り、今年7月に重要無形文化財保持者(人間国宝)に新たに認定されてから、何か変化があったかについて「何も変わらない。毎回ベストを尽くしています 」とコメント。そして、壇れいとの初共演については「似ている世界(宝塚歌劇団と歌舞伎という世界での経験について)でやってきているので、気持ちがわかるのです。例えば”三日初日あけて”とかの言葉とか共通点があります。久々に宝塚の舞台を観てきました」と、壇との似ている共通点と、宝塚歌劇団の舞台を観劇したことを語った。また、共演者の松田が坂東から稽古で「大丈夫よ」と、いつも言われていたことに対して語ると、坂東は「端から大丈夫じゃないから」と言い、笑いを誘う場面も。
壇:「稽古中から興奮し、今もドキドキしています」と、初日を控えた気持ちを語った。坂東との初共演について聞かれると「一緒に(舞台を)出来ると思っていなかったので、私でいいのか?・・・2,3日悩みました(笑)。舞台でのものづくりの姿、厳しさを見ました。(今は)心地よいです。人としても、舞台人、芸術家としても、いっぱい見させていただきました」と、坂東との初共演の素の気持ちを語った。坂東からの演技指導について「特別に教えてもらったことはあります。“秘伝”っておっしゃられたので、私だけの宝物にしたい」 と笑顔で語った。
松田:「(初日を迎えるにあたり)楽しみです。本番が待ち遠しく、緊張しますね」と、本番前日の気持ちを語った。坂東との共演について聞かれると「日々コミュニケーション。まわりから”(坂東との共演について)大変なことが起きているよ!”と言われました(笑)。(壇にたいしては)美しいので美しいんだな~と思いました」と、少し照れながら語った。
『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
<STORY>
幕末、尊王攘夷の機運が盛り上がる開港間もない横浜の遊廓・岩亀楼。
病で床に伏せった遊女の亀遊(檀 れい)を見舞いに吉原の頃から顔なじみだった芸者・お園(坂東玉三郎)がやって来る。そこでお園は、亀遊が通辞の藤吉(松田悟志)と恋仲であることに気づく。ある日、岩亀楼にアメリカ人のイルウスがやってくる。藤吉が通訳する中、イルウスは亀遊を気に入り、ぜひ相手にと熱望する。岩亀楼の主人はイルウスから大金をせしめることができると見るや亀遊の身請けを承諾するものの、亀遊は藤吉との恋が叶わないことを儚んで自害してしまう。
そのうちに、亀遊が自害したのは外国人への身請けを拒んだことが原因だという瓦版がまかれ、亀遊は一躍攘夷女郎のヒロインにまつりあげられる。そして「露をだにいとふ倭の女郎花ふるあめりかに袖はぬらさじ」という辞世の句を残したという話まででっちあげられてしまう。
一方、岩亀楼には攘夷女郎がいたと評判が立ち連日客が押し寄せる。亀遊の話を聞きたがる客にお園が話をするうちに、どんどん話が大きくなり、脚色されていってしまう。5年後、攘夷党の集まりが岩亀楼で開かれ、例によってお園が呼ばれ、亀遊の話をすることになる。手馴れたお園は流暢に話をし、最後に辞世の句を歌うと、それが脚色であることがばれてしまう。怒った攘夷党の侍に刀を向けられ、今後一切この話をしないように脅かされる。一命を取り留めたお園は、一人、降る雨を眺めながら酒をあおるのだった……。
作 有吉佐和子
演出 齋藤雅文
キャスト
坂東玉三郎 檀れい
松田悟志 伊藤みどり 藤堂新二 団時朗 他
スタッフ
美術 織田音也 中嶋正留
照明 池田智哉
邦楽 堅田喜三代
劇中歌作曲 今藤政太郎
効果 内藤博司
舞台監督 井口祐弘
製作 松竹株式会社/ TBS
主催 TBS / TBSラジオ / BS-TBS
公演期間 2012年9月28日(金)~10月21日(日)
会場 赤坂ACTシアター
チケット料金 S席 ¥13,000 A席 ¥9,000
※全席指定・税込