本日11月16日は井上ひさしの生誕78周年になります。
井上ひさしは放送作家として『ひょっこりひょうたん島』(山元護久と共著)の台本を執筆し、現代的センスによる笑いと風刺で子どもたちを中心に多くの人々に愛されました。演劇界へは『日本人のへそ』でデビューし、1972年には岸田戯曲賞を受賞、さらに小説『手鎖心中』で直木賞を受賞し、以降戯曲、小説、エッセイなど幅広い活動を続け、各分野での受賞多数。
1984年にこまつ座を旗揚げ。『頭痛肩こり樋口一葉』をはじめ『きらめく星座』『父と暮せば』『太鼓たたいて笛ふいて』『組曲虐殺』など、多くの書き下ろし作品を上演。『紙屋町さくらホテル』「~東京裁判三部作~『夢の裂け目』『夢の泪』『夢の痂』」『ムサシ』など、2010年4月9日に75歳で亡くなるまでの生涯に書いた戯曲は70作にも及びます。
こまつ座では今年2012年1月から12月までかけて「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」を開催しています。井上ひさしが生前に喜寿のフェスティバルをやることに「それは、大変おもしろいね」と、楽しみにしていました。1月の第一弾『十一ぴきのネコ』からはじまり、上演中の第七弾『日の浦姫物語』まで7本が幕を開けました。そして12月7日よりいよいよ第八弾、このフェスティバルのファイナルで、井上ひさし最後の戯曲であり意欲的音楽評伝劇『組曲虐殺』が幕を開けます。
プロレタリア文学の旗手 小林多喜二の生きた時代を描いたこの作品は、官憲の拷問によって、わずか二十九歳の若さで虐殺されるまでの2年9ヵ月の多喜二と、彼を取り巻く人々の姿に迫っていくもので、2009年に演出・栗山民也、多喜二に井上芳雄を得て上演。第17回読売演劇大賞・芸術栄誉賞(井上ひさし)、最優秀スタッフ賞(小曽根真)、優秀演出家賞(栗山民也)、優秀作品賞と主要演劇賞を総なめにした、井上ひさしの代表作のひとつで、今年一年開催してきた「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」のファイナルを飾り、井上芳雄、石原さとみ、高畑淳子ら初演と同じオリジナルキャストによる上演となります。稽古真っ最中の『組曲虐殺』のキャストから井上ひさしとの思い出、『組曲虐殺』についてのコメントが届きました。
井上ひさし生誕77フェスティバル2012第八弾ファイナル 『組曲虐殺』のキャストからコメントが届きました!
井上芳雄
井上先生と一緒にご家族だけの焼き肉に加えて頂いた時には「芳雄さんはうちの長男ですね」なんておっしゃってくださいました(笑)『組曲虐殺』をご覧になれば、多喜二の人生をもっと深く知ることができて、きっとすごく驚く。それはもう、すごい体験になるんじゃないかと思うんです。多くのみなさんの心に入り込めるような作品のはずです。
石原さとみ
『組曲虐殺』のゲネの時は、すごく泣きはらした顔で楽屋までいらっしゃって、握手をしながらずっと褒めて下さいました。あの時の顔、そして手はいまだに忘れられません。井上先生が命を削りながらも伝えたかった想いを、もっと丁寧に伝えられたらなと思っています。3年前よりも進化した作品をお見せしたいと思います!
高畑淳子
井上作品に出演する時はいつも、芝居の原点みたいなことを問われている気がします。そこが骨の折れるところであり、面白いところなんです。先生の芝居はそういう意味で本当に一筋縄ではいかないんです(笑)『組曲虐殺』はつらい時代や状況を乗り越えて生きようとする人々が、明るく、たくましく描かれています。「言いたいことも言えない、言いたいことも書けない、戦争へと向かった時代がかつてあった。今後も一歩間違えば、またその方向に進んでしまう」ということを押しつけがましくなく観せられるのが井上作品の魅力であり、演劇や映画の役割でもあると思うんです。
そして…
さらに井上ひさしの世界を堪能することができる
『組曲虐殺』スペシャル企画が決定
「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」ファイナルを盛り上げる!!
1:『組曲虐殺』トークショー開催決定!!
■12月28日(金)13:30公演終了後
「出演者全員によるトーク
初演から三年、井上ひさし渾身の遺作である本作品。今回初演メンバーのまま再演を迎え、今だから語れる
初演の時の秘話や作品への思いを熱く語って頂きます。
■12月20日(木)13:30公演終了後
井上ひさし生誕77フェスティバル2012特別版「井上芳雄+スペシャルゲストトーク
生前、井上ひさしから井上家の「長男!」と呼ばれるほど愛されていた井上芳雄(小林多喜二役)を中心に井上戯曲に挑んだ男優陣が井上作品の魅力に迫ります。
<スペシャルゲスト>
石井一孝(『夢の裂け目』)/今拓哉(『雪やこんこん』)/村井國夫(『シャンハイムーン』)
2:『組曲虐殺』オリジナルCD発売決定!!
井上ひさし生誕77フェスティバル2012のファイナルを飾る『組曲虐殺』のオリジナルCDの発売が決定いたしました。オリジナルキャストの歌声で小曽根真作曲の珠玉の楽曲をスタジオ収録したスペシャル版です。
(詳細は後日発表!!)
井上ひさし生誕77フェスティバル2012第八弾ファイナル
『組曲虐殺』
<東京公演>2012年12月7 日(金)~30日(日) 天王洲 銀河劇場
【作】井上ひさし 【演出】栗山民也
【出演】井上芳雄、石原さとみ、山本瀧二、山崎一、神野三鈴、高畑淳子
【音楽・演奏】小曽根真
【お問合せ】03-3862-5941(こまつ座)
<77フェスティバルとは>
2010年4月9日、井上ひさしは、少し永い、眠りにつきました。2011年11月16日に、77歳の誕生日を迎えることを祝い、2012年に喜寿のフェスティバルの開催を予定していました。「それは、大変おもしろいね」と、井上ひさし本人も楽しみにしていたのです。その想いを胸に、少し趣向を変え、生誕77年のフェスティバルとして開催させていただきます。井上ひさしは、1969年の『日本人のへそ』から2009年の『組曲虐殺』まで、40年にわたり70作にも及ぶ戯曲を世の中に生み出しました。1984年には自身の劇団「こまつ座」を旗揚げするなど、本当に演劇を愛した人でした。生前、とある詩を引き「悩みごとや悲しみは最初からあるが、喜びはだれかが作らねばならない。この喜びのパン種である笑いを作り出すのが私の務めです」と語った井上ひさし。
その想いを受け継ぎ、舞台のチカラ、演劇のチカラで喜びを未来へとつなげていきたいのです。蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁に加え、井上戯曲初挑戦となる長塚圭史。名だたる演出家による、8作品を、一年を通じて、公演。名作は、喜びを、未来まで届けるのです。
<井上ひさし生誕77フェスティバル2012 公演ラインナップ>
第1弾「十一ぴきのネコ」
第2弾「雪やこんこん」
第3弾「闇に咲く花」
第4弾「藪原検校」
第5弾「しみじみ日本・乃木大将」
第6弾「芭蕉通夜舟」
第7弾「日の浦姫物語」
第8弾「組曲虐殺」
1月10日~ 1月31日
2月19日~ 3月11日
4月19日~ 4月29日
6月12日~ 7月 1日
7月12日~ 7月29日
8月17日~ 9月 2日
11月10日~12月 2日
12月 7日~12月30日
演出:長塚圭史
出演:北村有起哉、山内圭哉 ほか
演出:鵜山 仁
出演:高畑淳子、キムラ緑子 ほか
演出:栗山民也
出演:辻 萬長、石母田史朗 ほか
演出:栗山民也
出演:野村萬斎、秋山菜津子 ほか
演出:蜷川幸雄
出演:風間杜夫、根岸季衣 ほか
演出:鵜山 仁
出演:坂東三津五郎 ほか
演出:蜷川幸雄
出演:大竹しのぶ、藤原竜也 ほか
演出:栗山民也
出演:井上芳雄、石原さとみ ほか